上の空

 こんにちは。

いい天気ですね。終日キッパリと「晴れ」というのは、なんだか久しぶりのような気がします。

それだけに今日は、天気に誘われてお出かけになった方は多いでしょうね。

部屋の中にいるのはもったいない感じです。

 

 さて、昨日まで「上の空(藤川景著)」という本を読んでおりました。

これは、著者である藤川さんが出版社に勤務していた頃に、抑鬱と不眠に悩まされ神経科に

入院し、大量の睡眠剤や精神安定剤の投与を受け「持続睡眠療法」という、ストレスから解放

するための脳を眠ったような状態にする治療を受けている時に、意識が朦朧となり、われしらず

2階のベランダから転落してしまい、頸髄を損傷し全身麻痺になってしまって以降の闘病記です。

闘病の経緯はかなり壮絶な内容ですが、元編集者という藤川さんの筆力と持ち前のユーモアに

よって綴られているためか、読みやすいエッセイのような仕上がりになっております。

 この本を読んでいて、「介護されるもの」と「介護するもの」の気持ちや、要望、労力、精神的な

負担、配慮、必要な工夫などなど、病気や障害によってやはりそれは「個別のもの」なのだと、

改めて思い知らされました。

 

私はこれまでに、障害のある方や介護の必要な方の家づくりのお手伝いを何度かさせて頂きまし

たが、お役所のようなところが用意している「設計のルール」というのが、あまり役に立たない事を

度々痛感したものでした。

半身麻痺といっても、右なのか左なのか、腕だけなのか、脚もなのか、男性か女性か、何歳くらい

なのか、他の家族構成は、その人の性格は・・と要素が様々あり、ひと括りにできません。

みんなそれぞれに違うんですよね。ひとりひとり。

ところが、残念なことに実際にはそのようなことはあまり考えられておりません。

例えば、クリニックやスーパーに設置されている「スロープ」ひとつを取ってみても、手すりが片側にし

かなく、スロープの幅が狭く、傾斜が急で、とても車いすに乗って自力で上がることができないような

つくりになっているところが多いんです。

お年寄りや弱っている人もさることながら、若い健常者が車いすに乗っても無理だろうというような・・。

こういうのでは、手すりが左側にある場合は、右利きの人が困りますし、スロープといっても自力では

上がれませんから、使える人が限られてしまいます。

ひとりひとり違うのですから、より多くの人が利用できるようにするべきでしょう。(エラソーですが・・)

 

一方、数千万もの大金をかけて車いすの生活を余儀なくされているおばあちゃんのために建てられた

家が、おばあちゃんに言わせれば「介護する人が介護しやすいだけの家で、私にはとんでもなく使い

にくいだけよ!」という代物だった、「豪邸」にお邪魔したことがありました。

立派な家だったんですけどね・・。廊下は2メートル近くの幅があって、お風呂は6畳位もあって、寝室

は高さ4メートルくらいの板張りの勾配天井で、まるで旅館のようなつくりだったのですが・・。

マニュアル的にはOKだったのでしょうが、現実はNGもいいとことろだったわけです。

どうして、おばあちゃんの身になって考えなかったのか疑問でなりませんでした。

 尤も、健常者が障がい者や要介護者の身になって考えることは簡単ではなく、自らがその身になって

みることもできませんから、むずかしいといえば難しいのですが・・。

それでも、もっと「その人の身になる」努力はすべきだと思います。(またまた、エラソーですが・・)

 

 現在、不自由な障がい者や要介護者の身体動作を体験できる施設は、私の知る限りですと東京は

西新宿の「東京ガス」のショールームだけで、仙台にはありません。(あったら教えて下さると嬉しいです)

あるといいんですけどね。住宅メーカーの方から、障がい者や要介護者をご家族に持たれる方も体験

することができるというような。

これだけで、家づくりはずいぶんと、進歩すると思います。